E判定から医学部合格が珍しくない理由とは?
受験生は様々な外部模試や予備校の内部模試を受けますが、志望校合格判定の結果にどうしても一喜一憂してしまいます。
もし第一志望の大学の判定が「E判定」だったら、普通に考えれば合格は絶望的と考えて志望校を変えることを考えるかもしれません。
しかし実際には「E判定」が出ていたにも関わらず医学部に合格するということは珍しいことではありません。
なぜ判定がE判定でも合格することがあるのかその理由について説明していきたいと思います。
▼ 医学部入試コラム 目次
合格判定の合格不合格基準は受験生の自己申告
そもそも予備校の合格可能性判定がどのように設定されているかを知る必要があります。
模試を実施している団体は年度末などに模試を受けた学生にアンケートを送付します。
予備校や団体にもよりますが、「どこを最終的に受験したか」「合格したか不合格だったか」「学校での内申点はどれだけだったか」などの項目が並んでいます。
これは「合否調査」と呼ばれるもので予備校や団体がもっとも欲しいデータの一つです。
送付すると何か粗品がもらえたりすることがありますが、学生は絶対に書かなければいけないものではないために全員分の情報は集まりません。
そしてその模試を受験した時に偏差値が65だった学生たちの約半数ほどがAという医大に合格していたとします。
そして次の年にその模試を受けた学生の偏差値が65だった場合「Aという医大の合格可能性判定はC判定」(C判定は合格可能性が約50%)ということになるのです。
つまり基準になっているのは、その前の年に受けた受験生のデータなのです。
そしてそれは正確な学校からの情報などで裏付けをとったものではないので、そもそも本当のことが書かれているかどうかもわからないアンケートからの情報なのです。
そのために同じような成績でも年度によって判定結果が大きく変わったり、進研模試、駿台模試、河合塾模試、医大専門予備校模試によって判定が大きく変わることもあります。
駿台模試ではE判定だったけど河合塾模試ではB判定だった、なんていうこともあるのです。
こういったことがあるので模試でE判定だったとしても医学部に合格するということが普通に起こりうるのです。
点数差が少ない医学部模試は判定が変わりやすい
同じ学生でも一年を通して模試を受けていれば偏差値が変動していくのが普通です。
ではこの学生が賢くなったり学力が低下したりしているのでしょうか?
実際にはそのようなことはあまりありません。
偏差値というものは受けている学生の「数」や「質」によって大きく変化するものです。
極端な話でいえば、100人しか受けていない模試と1万人が受けた模試で同じ偏差値になることはありません。
また、あまり成績が良くない生徒ばかりが受けている模試と、医学部専門の予備校の模試で同じ偏差値になることはないでしょう。
偏差値は学力が高い学生ばかりが受けている模試だと自分の偏差値は低くなりがちで、学力が低い学生ばかりの模試では高くなる傾向があります。
これも「E判定から医学部合格」に関連してくるのです。
医学部を受験しようとしている学生は当然ですが優秀な学生が多くいます。
そういった中で模試を受けて少しミスが多かったりすると偏差値はかなり低く出てしまいます。
その低い偏差値で合格可能性判定を出せばE判定になるのは自然な流れなのです。
つまり実際にはそこまで悪いわけではないのに、かなり厳しめの判定が出ているということが往々にしてあるのです。
また、医学部の入試では、一般的な大学入試よりも受験生の点数の差が極めて小さく、拮抗することが多いのです。
そうした中で模試ではミスがあったりしてE判定が出ていたが、本番の入試ではミスなく実力を発揮できたという生徒は合格することがあるのです。
逆に模試ではA判定だったのに本番の入試で力を出し切れずに不合格になることも多々あります。
こういった仕組みをしっかり理解していれば、単純に模試の結果だけを見て落ち込んだり志望校を変えたりすることはなくなるでしょう。
現状把握をするために偏差値、点数、順位、判定を総合的に分析を
当たり前のことですが、こういった模試の判定結果が「すべて嘘」というわけではありません。
ふつうに考えればE判定の学生よりA判定の学生の方が合格する可能性は高いでしょう。
E判定はまったく点数が足りていない、合格の見込みが限りなく低いということもあるのです。
偏差値や合格可能性判定があてにならないからといって偏差値が35しかないのに偏差値70の医学部を受験してもまず合格はしません。
重要なことは、しっかりと分析をしてどうしてその判定結果が出たのかを理解すること。
そして対策を立てて最後まであきらめずに勉強を重ね続けるということが大事なのです。
そういったことができる学生であれば、たとえ模試の判定がE判定だったとしても医学部に合格することは十分に可能だと言えるでしょう。